四大刺繍を用いた製品作り

刺繍の歴史は長く、起源は明らかになっていませんが、ヨーロッパでは古代エジプト時代から、中国では約3000年前の刺繍を施した衣装が発見されています。日本でも同様に刺繍を施した服が発見されており、いずれも宗教や階級、呪術などの意味があったといわれています。

着物においては約50年前、弊社の先代が中国に生地を持ち込み、刺繍を施したことが刺繍着物の始まりです。

 

繍栄では3000年近い歴史があるといわれる平刺繍(蘇州刺繍)、相良刺繍、汕頭刺繍の「中国三大刺繍」に加え、日本の伝統技法である刺子刺繍を加えた「四大刺繍」を中心に製品作りを行っています。

 

同じ柄でも縫い方によって仕上がりは全く異なるため、繍栄では生地やデザイン、使用シーンなどをイメージしながら伝統技法を使い分けて刺繍を施しています。

それぞれの刺繍は職人の高い技術と長年の勘が欠かせません。

機械の刺繍では決して再現できない繊細さや伝統ある刺繍技法で製作できることが繍栄の強みです。

ー王朝刺繍ー

王朝刺繍は繍栄の登録商標( 登録番号 第5566043号 )です。

「王朝刺繍」の由来は、王朝時代の工程の衣装に刺繍を施し、歴代の皇帝の刺繍衣装製作に関わっていた長年の功績から勲章を受けたレ・ヴァン・キン氏を、弊社の専属工場の最初の技術指導者として迎えたことから命名しています。

ベトナムでの製作

繍栄の刺繍は、当初は中国で刺繍加工を行っていましたが、現在はベトナム中部にあるフエ市の専属刺繍工房で日々製作を行っております。

ベトナム中部に位置するフエ市は1802年から1945年まで続いたベトナム最後の統一王朝グエン朝の都がおかれた歴史都市です。市内には現在も王宮・寺院・歴代の皇帝廟があり、それらの歴史的建造物はベトナム初の世界文化遺産としてユネスコに登録されております。

 

刺繍はどの地域でも行えるわけではなく、技術力の他に、文化や人間性、職人の多さなど、様々な条件が揃わなければ安定した製品作りを行うことができません。刺繍文化が根付いており、繊細な作業を丁寧に行える場所が必要とされています。

ベトナム(特にフエ市)は王朝時代から共に栄えてきた刺繍文化が根強く残っており、真面目な国民性も相まって世界トップレベルの刺繍技術を持った非常に評価の高い国として知られています。

 

日本で白生地を織り上げ、刺繍を行うための型を描き、染を行ってからベトナムに運んで刺繍を行います。

短いものは3、4か月で縫い上げますが、刺繍の量が多いものは2年を超えることも少なくありません。

繍栄の刺繍工房は熟練した職人による高い技術力と職人の豊富さによって高品質の着物を製作することが可能ですが、それでも2か月に1回は現地の工房に出向き、品質管理を徹底しています。

Mr. Le Van Kinh(レ・ヴァン・キン氏)

多くの刺繍職人がいる中、ベトナムで最も有名な職人の一人がレ・ヴァン・キン氏(Le van kinh)です。

職人のレ・ヴァン・キン氏は、最後のグエン王朝の皇帝 保大帝(ホアン・デ・バオ・ダイ/1913-1997年)の衣装に刺繍を施した人物として知られ、フエ氏の刺繍文化の源となっている人物です。代々皇帝の刺繍衣装制作に携わっており、長年の功績から、日本でいう人間国宝に当たる勲章を授与されています。

 

繍栄では、レ・ヴァン・キン氏を繍栄工房の最初の技術指導者とし、1995年から現在まで日本の着物を持ち込んで刺繍着物を製作しております。繊細で美しいその仕上がりは職人さんでさえも驚く上質な仕上がりで、高い評価を得ています。

また手刺繍着物の製作と同時に、ベトナムでの職人の育成、文化・経済の発展に力を注ぎ、安定した刺繍文化の発展に努めています。