平刺繍(蘇州刺繍)

平刺繍は中国三大刺繍の一つである「蘇州刺繍」とも呼ばれている刺繍技法です。

約2500年前、呉の国が絹織物と養蚕業で盛んであった蘇州に当時の都を置いたころから盛んにおこなわれてきた刺繍で、新王朝時代に多様な技法が確立されました。
手刺繍の中でも群を抜く繊細さと多彩な色彩で。広く世界の人々に知られています。

本場中国の蘇州では現在も刺繍が盛んにおこなわれており、その多くは美術品である刺繍額です。
通常刺繍を行う1本の絹糸を2分の1から36分の1の細さに分割し、何十色もの絹糸を用いて縫い上げます。そのため出来上がった刺繍は繊細且つ美しく、まるで絵画のような仕上がりとなります。

代表的な工芸としては両面刺繍があり、極細の縫い針を使用し、同時に表裏とも同じ図柄または違った柄の作品に仕上げたものです。縫い代が見えないように特殊な技術を用いて作ることで、両面どちらからでも鑑賞出来るといった素晴らしい芸術作品と言われてます。

美しいその仕上がりから「絹の絵画」と呼ばれています。

両面刺繍額「御所車」

構図は同一であるが、花の色が表裏で異なっている。玉止め等を行わないため、美しい仕上がりとなるのが特徴。

刺繍糸 見本

刺繍糸の見本

着物には1/4から1/16の糸を使用し縫い上げる。刺繍額は1/36の糸を使用することでより繊細で美しい仕上がりにする。

平刺繍(蘇州刺繍)着物

極細の絹糸を使用し縫い上げるため、他の刺繍に比べて光沢があり、自然の光を美しく反射させることができます。
そのため、ホテルの赤い絨毯の上であれば、刺繍部分が赤く火照り、桜の並木道のではピンク色に染まり、刺繍の楽しさを実感いただけます。

平刺繍(蘇州刺繍)の着物は自然と柄を浮きだたせるため、お顔と柄が喧嘩することなく、上品な風合いとなることから、女優や歌手の方々が多く愛用されています。

訪問着などフォーマルの着物にされていることが多いが、生地や帯によってフォーマルからカジュアルまで幅広くお召いただけます。

平刺繍(蘇州刺繍)のまとめ

  •  四大刺繍の中で最も細かい刺繍糸を使用(1本の糸を1/2から1/36に)
  • 糸の太さ、針のさし方で写実的・絵画的な美しさ(=刺繍額)
  • 1反の着物に50色以上の糸を使用
  • 最も光沢があり光を自然に反射させる
  • フォーマルからカジュアルまで幅広く楽しんでいただける刺繍
  • 写真写りがよく、遠目からも柄をはっきり浮きだたせる

他の刺繍技法