相良刺繍の発祥は、蘇州刺繍で有名な江蘇省の都市「蘇州」と言われており、その始まりは中国の漢の時代から行われていたといわれています。実際に日本で行われ始めたのは、奈良時代で、仏像の羅髪(らほつ=巻き毛)の部分に使用されたのが始まりです。
相良刺繍は撚糸(より合わせた糸)を使用します。縫い込む際に1針ずつ生地の表面で玉結びを作り、結び目を密集させることで立体感のある柄を作ります。
一粒ずつ結び目を作り刺繍を施すことから、中国3大刺繍の中で最も丈夫な刺繍として知られています。また他の刺繍と違い光沢感がなく落ち着いた仕上がりになるため、上品で人気の刺繍技法です。
糸を玉止めすることで立体感を生み出しているため、柄が浮き上がっているような風合いになります。
光沢感がない分、落ち着いた雰囲気で着用することができ、上品な着物となります。
また、柄とお顔が喧嘩することなく引き立って見えるため、着姿はもちろんのこと、写真写りもばっちりです。
他の刺繍に比べて刺繍加工に時間がかかるため、全体の生産数が少なくなっています。また、生地が丈夫でなければきれいに刺繍を行うことが難しいため、相良刺繍の着物を見かけることは多くありません。相良刺繍職人も減少しており、今後、生産数は減っていく見込みです。当然、値段も高価になっていきます。
1つずつ結んでおり、刺繍部分が丈夫なことが特徴で、帯の刺繍加工としては理想的な刺繍です。
柄や色などによって、フォーマルからカジュアルまで使用することができ、重宝する刺繍着物となります。